太平洋戦争の歴史 (講談社学術文庫)



太平洋戦争の歴史 (講談社学術文庫)
太平洋戦争の歴史 (講談社学術文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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初心者向け

初心者向けとしては極めてよくまとまった本。ちょっとおませな小学高学年、中学生向けとしておすすめできる本ではないだろうか。
逆に言えば、戦史中心に読みたい人にはものたりないし(児島譲の「太平洋戦争」の方が良い)、社会学的なものを期待する人にも食いたらないだろう。

微視的&巨視的視点の見事な融合

最高にわかりやすい太平洋戦争の本。ひと言で評すればそうなる。

しかも太平洋戦争が始まる経緯から、大東亜共栄圏が瓦解し、大日本帝国が敗れて
いくまでの過程を、大きな歴史・政治・社会の流れの面からわかりやすく解説
しながら、その大きな渦の中で生きた人々の個人的回想をうまく織り込んで、
時代の雰囲気(の一端)までをまざまざと伝えてくれる。
この点のバランスの見事なことは、他の本の追随を許さない素晴らしさだ。

そして、太平洋戦争の様々な側面について検証を重ね、その評価を著者が下す
ばかりでなく、読者自身に突きつけるといういささか古めかしい書体は、
よく考え抜くことをしないで即答を求める風潮のはびこる今日、むしろ新鮮だ。

太平洋戦争について読みたいという人に、まず薦めたい一冊。
旧さ故の新しさがある本

20年前に出ている本の文庫化だから、当然ながら最新の史料や研究成果には追いついていない部分がある。しかし、その点を考慮しても今なお新鮮な読後感(正確には「再読後感」)が得られるのは、著者による歴史叙述の手法が、いまだ実践的に超越されていないからではないだろうか。難解な用語や叙述を用いることなく、ここまで歴史を活写したこの本は、既に新刊では入手できなくなってしまった『日中15年戦争』上・中・下や『十五年戦争史研究序説』、『日中戦争前史』とならんで、昭和史学史に記録されていくのではないか。平成時代のわれわれが、どこまでこれを超越できるか、この本は鋭く問いかけていると思う。



講談社
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